デジタルトランスフォーメーションの文脈の中で、テクノロジーはしばしば効率性や生産性を中心に語られます。一方、ライフロングインクは、機能的な向上にとどまらず、人間の感情や意識といった感覚に寄り添い続けるテクノロジーです。その本質的な価値は、便利な道具を提供する一度の機会ではなく、その道具を使ってアイデアや作品などが生み出されていく誰かの人生の長い時間にあります。ワコムは、進化を続けるテクノロジーの未来が合理的で無機質なものではなく、人間の感覚に寄り添うものであってほしいと願い、日々テクノロジーの開発に取り組んでいます。
例えば、教育、空間デザイン、ライフスタイルなどさまざまな分野との協業や、AIなど最新テクノロジーと融合することで、ライフロングインクの新たな価値を提供できないか研究を続けています。そのひとつが、デザインエンジニアリングを専門とするエスディーテック株式会社と共に開発した「教育向けAIインク」です。
「教育向けAIインク」は、眼鏡型の視線検知デバイスを装着してペンタブレットを使用することで、学習中の視線のデータとペンの動きを取得します。このデータから生徒一人ひとりの学習の特性を明らかにし、個人に合わせた学習環境を提供します。このテクノロジーは、教科学習はもちろん、知育や生涯教育などさまざまな教育の場で活用できると考えています。
教育は、ワコムが描くテクノロジーポートフォリオの中でも特に強い思いをもって取り組んでいる分野です。ライフロングインクで未来の教育のために何ができるのか、今後も研究を続けてまいります。