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3.KOPPAのはじまり/
「旅するKOPPA」の物語

 

KOPPAのはじまりは2019年4月。伊藤さんは、その年の秋に大阪で開催される展覧会(※)の展示計画を考えていた。当時の活動拠点がスイスであったことや、費用的な制約もあり、どうやって展示什器を作ろうか悩んでいたという。何よりも、一週間強の展示のために、要らなくなってしまうようなものを作りたくなかった。「また誰かに使ってもらえるものにしたい。」伊藤さん、萌ちゃん、しょーきちさん、三人の思いが交差した。
※「Under 35 Architects exhibition 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会」


伊藤
一緒に大阪で展示製作をやってくれる人がいないか友人に相談したら、萌ちゃんを紹介してもらったんです。大阪のイタリアンバルで一緒にごはんを食べながらぼんやりとした構想を話して、後日、萌ちゃんが「こういう人たちとやったら面白いのでは?」と紹介してくれたのがしょーきちさんでした。そのときはまだKOPPAという名前もなかったし、端材を使おうというアイデアもなかったんです。

土中
維さんの最初のアイデアで、展示に使ったものをその後も有効活用したい、材料も買って作るのではなく、余っているものを使えたらいいなあという話があったんです。しょーきちさんの拠点でもある前田文化には何度も遊びに行っていて、あそこの資材が使えるんじゃないかなと(笑)維さんも面白いことをしたいという思いが強い方だなと思って、しょーきちさんを巻き込んだらなんとかなるのではと思いました。

野崎
僕は大工なんですけど、イベント什器やステージを作る仕事も多くて。数日間のイベントのためにたくさんの木を使って、イベントが終わったらごみ処理場に持っていくことに違和感を持っていたんです。そうしたら、萌ちゃんも同じ気持ちで。維さんを紹介してもらって、什器を一緒に作ることになりました。僕らが日々大工仕事をする中で、必要なものから少し余ったもので作ったのがKOPPAです。環境のために何かパフォーマンスをしたいというよりは、違和感に思っていたことを自分たちならどう解決できるのか。それがはじまりでした。

井出
什器が原点だったんですね。僕とリタさんが展示会でみたのは本棚の形をしていたので、家具として作られたのかなと思っていました。ワコムの展示でも近いものがあって、舞台や什器を作って、壊して終わる。そのことに違和感があって、奇しくも原点がつながっているなという気づきです。

伊藤
解体現場を見るのは胸が締め付けられます。仕上げも構造体も一緒にぐしゃっと壊し崩すみたいな、そういう現場を見てきたので、そうでないやり方はないのかなと思ってきました。前田文化みたいに解体を面白がりながら、丁寧に解体することで材料がもう一度使えるということがあったり、アメリカに留学していたとき、そういうことを実際にやっている人がいると知ったりしたことが自分たちの活動のイメージにもつながっています。


KOPPAに使われているのは、主に下地として使われる木材。世の中に出回っているけれど表に出ることがない、流通に出すために計算された材料がもとになって設計されているのだとしょーきちさんが教えてくれた。

 

 

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野崎
僕たちの現場では、化粧にする材料と下地にする材料の2種類があるんですけど、KOPPAでは、壁の中とか床の下とかに使われる、本来あまり日の目を見ないような木を使っているんです。下地になるための材料なので、規格も決まっていて。例えば35ミリの角材とか、三六版の大きな面材とか。僕たちが捨ててしまうもののサイズから維さんに設計してもらっています。

土中
最初に私としょーきちさんで廃材のリストを作りました。前田文化に行って、この厚さの板が何枚あります、みたいな。その中で歩留まりよく作れるようにと維さんが設計してくれたんです。

伊藤
それで最初の本棚は90㎝幅というのが多かったんです。

井出
材料は「旅するKOPPA」も同じですか?

野崎
完全に同じ材料ですね。自分がストックしておいたやつです。新しい材料はほとんど買っていなくて、木と木をつなぐ金物だけ新しく買いました。普段は壁の中にいる木です。

井出
面白い!本当はこのあとサンフランシスコ、ミラノ、北京とかを旅するはずだったけれど、全部キャンセルになっちゃったんだよね。
(※2020年4月時点)

野崎
すごい運命ですね。

井出
今は新宿で休んでいるだけ。落ち着いたらまた一気に旅に出ます!

野崎
そのときまでに僕も材料をためておきます。


KOPPAチームのよいところは、お互いにいろんなことを思いながらルースにつながっているところではないかと伊藤さんは話してくれました。私たちもまた、それぞれの思いを抱きながら、ルースにKOPPAとつながっていけたらよいなと思っています。「旅するKOPPA」の物語はこれからも続きます。

 

 

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Team KOPPA プロフィール

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伊藤維

建築家。伊藤維建築設計事務所代表。都市や建築から家具、インテリアまでシームレスに取り組みたいと、自身の活動の延長としてKOPPAを始めた。

 

土中萌

設計事務所「Arts&Crafts」所属。KOPPAチームの企画担当。

 

野崎将太

建築集団 「々」代表。大工でアーティスト。内装から芸術イベントの造作や設営まで、さまざまな作ることに携わる。


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上村一暁

「bar inspire」 店主。昼大工、夜バーテンダー。 

 

大木脩

合同会社生活工学研究所代表。生活の研究者。大工。

 

プロジェクト一覧

私たちの灯り‐Join The Journey/Arian Rahmatzai

チームメンバーやコミュニティーの方々の作品を紹介する「私たちの灯り」。ワコムでインターンを体験したArian Rahmatzaiさんが、日本をテーマに描いた作品を紹介します。

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クリエイターになりたい-子どもたちの未来を応援する1

クリエイターになりたいという子どもたちの夢はチームメンバーの心の灯りと重なり、多くの取り組みにつながっています。鹿児島県錦江町のアニメーション制作ワークショップに協力しました。

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クリエイターが安心して創作を続けられる世界を目指して/Wacom Yuify

目に見えないマイクロマークを作品に埋め込むことでクリエイターの創作の証を記録するサービス、Wacom Yuify。地域や文化によって異なるクリエイターの要望に応えようと開発を進めています。

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デジタルインクテクノロジーをより多くの人に届けたい/中国での取り組み

デジタルインクテクノロジーの認知拡大と普及を目指すInk Division。中国で唯一のプロダクト・マネージャーとして挑戦を続けるラニー・ジャンに取り組みに対する思いを聞きました。

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wacom

私たちの灯り‐昼下り海辺で/sammy

「私たちの灯り」では心の灯りをテーマにチームメンバーの作品を紹介してきました。今回は「かくこと」を軸にともに取り組みを進める神奈川県大磯町のアーティストによる作品を紹介します。

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wacom

誰もが創造力を発揮できる場を/ワコム・エクスペリエンス・センター

コミュニティーとの交流を目的に生まれたワコム・エクスペリエンス・センター・ポートランド。その旗振り役を務めるメーガン・デイビスの心の灯りとともにこれまでの成長を振り返ります。

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ただここで起こることがすべて/コネクテッド・インク2022

二つの大きな問いかけとともに開幕したコネクテッド・インク2022。東京で開催されたいくつかのセッションを紹介しながら振り返ります。

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私たちの灯り‐光を運ぶ風/棕櫚

「私たちの灯り」では心の灯りをテーマにチームメンバーの作品を紹介してきました。今回は「かくこと」を軸にともに取り組みを進める神奈川県大磯町のアーティストによる作品を紹介します。

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「かくこと」を支え続けたい/大磯町との取り組み

神奈川県大磯町とのコラボレーションは「かくこと」を軸に町全体の取り組みへと広がりをみせています。担当するクリエイティブBUの坪田直邦に話を聞きました。

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コネクテッド・インクという多面体の側面-2

チームメンバーの心の灯りを起点に、コネクテッド・インクという多面体の一面を覗いてみます。二人目は、Corporate Engagementを担当する桧森陽平です。

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コネクテッド・インクという多面体の側面-1

チームメンバーの心の灯りを起点に、コネクテッド・インクという多面体の一面を覗いてみます。一人目は、2016年から企画運営の中心的役割を務めるハイジ・ワンです。

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社会に存在する障壁を乗り越えるには?/コール・アンド・レスポンス

2021年9月、ワコムは、株式会社ヘラルボニーと一般社団法人コネクテッド・インク・ビレッジと共に、「コール・アンド・レスポンス」(呼びかけと呼応)という新たな取り組みを始めました。

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余韻の中に残るもの/コネクテッド・インク2021

当日行われた70近いセッションの中からオープニングとフィナーレを振り返り、コネクテッド・インク2021がもたらしたものについて考えてみます。

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私たちの灯りー“The spark of love” by Jacky Yang

「心の灯り」をテーマに、二回目となるアートコンテストを開催しました。思いもよらぬ出来事にさまざまな変化が起こる中、今、そして未来へと続くチームメンバーの心の灯りを作品を通して紹介します。

詳細はこちら ::before ::after

問いを立て進み続ける/
コネクテッド・インク2020

「コネクテッド・インク2020」は、終わりなき問いを続けていくワコムの新たな覚悟であり、挑戦の始まりでした。

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物語をつないでいく舞台「ステージKOPPA」

コネクテッド・インク2020の舞台として制作された「ステージKOPPA」。多様な場面に応じて、形や役割を変化させ、そこで起こるさまざまな物語をつないでいくステージです。

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私たちの灯りー“Mam and Dad’s Child Interest” by Stella Wang

「心の灯り」をテーマに、二回目となるアートコンテストを開催しました。思いもよらぬ出来事にさまざまな変化が起こる中、今、そして未来へと続くチームメンバーの心の灯りを作品を通して紹介します。

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私たちの灯りー秋山でのひととき/山本高廣

私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマに、チームメンバー(社員)を対象にしたアートコンテストを開催しました。チームメンバーによる投票で選ばれた三作品を紹介します。

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ステイホーム期間中に小学生向けオンラインお絵描き教室を開催

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、外出自粛をしていた子どもたちに何か楽しい時間を提供したい。FC KAZOとイラストレーター・すいいろさんと共に、小学生を対象としたオンラインお絵描き教室を開催しました。

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サッカーを通じたワコムの新たな取り組み

FC KAZOと共にチームと地域を育てたい。ワコムは埼玉県加須市のフットボールクラブ「FC KAZO」のオフィシャルパートナーとして活動を支援しています。

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私たちの灯り-"The spark is in you! Mirror portraits during times of isolation" by Oliver Madlener

私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマに、チームメンバー(社員)を対象にしたアートコンテストを開催しました。チームメンバーによる投票で選ばれた三作品を紹介します。

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休校中の子どもたちにオンライン・スケッチノーティング講座

新型コロナウイルス感染拡大防止による休校中の子どもたちを対象に、ドイツのチームメンバーがオンラインワークショップ「Young Wacom」を開催しました。

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カスタマーサポートを通じてアーティストの「人生」を応援したい

アメリカでカスタマーオペレーションを担当するアレックス・ダフィーは、アーティストを支援する新たなプログラムを立ち上げました。このプログラムを立ち上げるきっかけとなったアーティストのデボン・ブラッグ氏との物語について、アレックスに聞きました。

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3.KOPPAのはじまり/
「旅するKOPPA」の物語

KOPPAのはじまりは2019年4月。伊藤さんの展示制作がきっかけでした。展示後も「また誰かに使ってもらえるものにしたい。」KOPPAに込められた思いをお聞きしました。

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2.もう、壊さなくていい/
「旅するKOPPA」の物語

自分たちで組み立てて、広げて、しまって、また一緒に旅に出る。壊すのが当たり前であった展示什器の在り方を大きく変えた「旅するKOPPA」が誕生しました。

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1.「KOPPA」との出会い/
「旅するKOPPA」の物語

建築現場の端材を活かせないかと、建築家の伊藤維さんの呼びかけで生まれた家具「KOPPA」。ワコムとの出会いは小さな偶然がきっかけでした。

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私たちの灯り-“That Spark Inside”
by Simone Wolters

私たちの取り組みで大切にしている「灯り」をテーマにアートコンテストを開催しました。作品を通して、チームメンバーが大切にしている心の灯りの存在を紹介します。

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未来のエンジニアたちにマーケティングの講義

東京工業高等専門学校で技術者を目指す学生を対象にマーケティングの講義を行いました。

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未来の教育を考える
ライフロングインク×AI

学習中の視線データとペンの動きから、生徒個人の学習特性を明らかにし、個人に合わせた学習環境を提供する「教育向けAIインク」を開発しました。

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授業をもっと楽しく、クリエイティブに
Wacom Intuosを学校に導入

ブルガリアで働くソフトウエアデザイナー、ヨアナ・シメノヴァは、子どもたちのITクラスをもっと楽しくしたいとWacom Intuosを学校に導入しました。

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サステナビリティに関連した当社の規範、
方針、体制等

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